賃貸物件を探していると、物件情報に「都市ガス」または「プロパンガス(LP ガス)」と記載されています。「ガスなんてどれも同じでしょ」と思っていると、入居後に毎月のガス代が想定の2倍近くになって驚く、というケースが後を絶ちません。
この違いを知っているかどうかで、年間数万円の生活コストに差が出ます。物件選びの段階で必ず確認しておきたい知識です。
- 都市ガスとプロパンガスの仕組みの違い
- 料金差の実態と年間コストへの影響
- プロパンガス物件を選ばざるを得ない場合の対処法
- 物件探しの段階でガス種を確認する方法
都市ガスとプロパンガス、何が違うのか
まず基本的な仕組みの違いを整理します。
最大のポイントは単価の差です。東京都の場合、都市ガス(東京ガス)の従量単価が1㎥あたり約174円なのに対し、プロパンガスは約600〜635円と約3.5倍の開きがあります。なお、プロパンガスは都市ガスの約2倍の熱量があるため使用量(㎥数)自体は少なくなりますが、それでも月々の請求額は大きく変わります。
プロパンガスはボンベを個別に配送するコストがかかります。さらに、料金を自由に設定できるため競争が起きにくく、高止まりしやすい構造になっています。また、オーナーとガス会社の間で「給湯器などの設備を無償提供する代わりに高い料金を入居者に請求する」という商慣行が一部で残っており、入居者が不利益を被るケースも問題視されています。
年間コストの差はどのくらいか
一人暮らしの場合、月間のガス使用量は平均で10〜15㎥程度です。この前提でシミュレーションしてみます。
プロパンガスは都市ガスの約2倍の熱量があるため、同じ火力・同じ時間使っても使用量(㎥)はプロパンの方が少なくなります。しかし単価が圧倒的に高いため、結果として請求金額は大幅に高くなります。上表のとおり、10㎥使用時で月約3倍以上の差が生じています。
家賃が同じ物件でも、ガス種の違いだけで年間約7万円の生活コスト差が生まれることもあります。5年住めば35万円以上の差です。物件選びの段階でガス種を確認することがいかに重要かがわかります。
入居者はガス会社を変えられない
「プロパンガスが高ければ、自分で安い会社に切り替えればいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、賃貸の場合、ガス会社の選択権はオーナーにあり、入居者は基本的に変更できません。
・ガス会社を自分で選んで切り替える
・プロパンガスを都市ガスに変更する
・ガス料金の単価をガス会社と直接交渉する
これらはすべてオーナーの権限です。「料金が高い」と感じても、入居者単独ではどうにもなりません。
2017年のガス自由化以降、都市ガスは会社の切り替えが可能になりましたが、プロパンガスはオーナーとガス会社の契約に縛られているため、入居者には選択の余地がありません。これが「物件を選ぶ段階で確認すること」が唯一の対策になる理由です。
プロパンガス物件を選ばざるを得ない場合
希望エリア・家賃・間取りを優先すると、プロパンガス物件になってしまうこともあります。その場合、以下の視点でダメージを最小化しましょう。
| 対策 | 具体的な方法 | 節約効果 |
|---|---|---|
| IHクッキングヒーターを活用する | 料理をガスではなくIHで行う。卓上IHは5,000〜1万円で購入可能 | 調理用ガス代を大幅削減 |
| シャワー時間を短くする | 給湯が最もガスを使う。1分短縮するだけで月数百円の節約になる | 月500〜1,000円程度 |
| 追い焚きを控える | お湯が冷めたら足し湯(お湯を足す)の方が追い焚きより省エネ | 月数百円程度 |
| オーナーに料金確認を依頼する | 入居前に「現在の入居者のガス料金の目安を教えてください」と業者経由で確認 | 入居後のギャップ防止 |
| LP ガス料金透明化サービスを利用する | 国が推進する「LPガス料金透明化制度」に基づき、料金の妥当性を確認できる | 不当な高額請求の把握 |
物件探しの段階でガス種を確認する方法
ガス種は物件情報ページの「設備」欄に記載されていることがほとんどです。ただし、記載がない・曖昧な場合は必ず問い合わせ時に確認しましょう。
SUUMO・HOME’Sでは設備欄に「都市ガス」または「プロパンガス」と記載されている。「ガス」とだけ書いてある場合は要確認。
「こちらの物件は都市ガスですか、プロパンガスですか?」と問い合わせフォームやLINEで確認するだけでOK。
プロパンガスは会社・物件によって単価が大きく異なる。「現在の入居者が支払っているガス料金の目安」を業者経由で確認しておくと入居後のギャップを防げる。
給湯器に「LP」「LPG」と書いてあればプロパンガス、「都市ガス」「13A」と書いてあれば都市ガス。内見の際にチェックしておくと確実。
東京23区内は都市ガスの普及率が非常に高く、プロパンガス物件は比較的少数派です。ただし築古の木造アパートや一部の戸建て賃貸ではプロパンガスのままのケースも残っています。23区外・郊外エリアになるほどプロパンガス物件の割合が上がる傾向があります。
まとめ
- 都市ガスとプロパンガスの単価差は東京都で約3.5倍。熱量差を考慮しても月の請求額は大きく変わる
- 東京都の実データ(2024年)では10㎥使用時で月約5,700円差、年間約68,000円の差になるケースも
- 賃貸ではガス会社の切り替えはオーナーの権限。入居者には変更する手段がない
- 物件選びの段階で「都市ガスかプロパンか」を必ず確認することが唯一の対策
- プロパン物件を選ぶ場合はIH活用・シャワー時間短縮など使用量を減らす工夫で対応する


